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ベルトドフリーズ(ベルト・ド・フリーズ) ベルトドオランドの別名。
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斧の製造 斧の材料 真銀の斧 炭 30 金塊 8 銀塊 8 鉄 32 石炭 0 銅鉱石 70 きれいな玉 17 粘板岩 87 サンゴ 30 光沢剤 3 豆 22.5 わら 22.5 米 45 ユリの根 15 オクラ 15 真金の斧の材料となっている。
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銀の意志Ⅱ ◆JvezCBil8U * 「もしもし……」 『はい』 「待ってたぜ。秋瀬或――だろ?」 東郷に中断の旨を伝え、彼と距離をとった後に歩が電話に向かって放った第一声がそれだった。 “この”携帯電話は1stとやら、天野雪輝という人物のものだ。 だからこの番号を知っているのは、彼本人かその知人。 それも電話帳に登録されているくらい近しい間柄の人間だろう。 例えばユノと名乗った、あの女性のように。 好機。故にハッタリを仕掛ける。 電話を掛けてきた人間は声色からしておそらく男性。それも若年だ。 殺し合いの前に集められた空間で確認したシルエットから考えれば、天野雪輝はそれに該当する。 だが、それは否定される。声質があのときの1stとはまた違うものだったからだ。 ならば、可能性として残されるのは天野雪輝の男友達、といったあたりか。 電話してきた理由はいくつか考えられる。 そのいずれもが、未来日記の有用性と危険性、そして天野雪輝本人に関するものばかりだ。 無差別日記に課せられた制限、雪輝の手に渡らねば未来を知ることは出来ないという現実を、相手は知らないだろう。 だから、これが見知らぬ他人の手にあることを知った場合、彼が考えるだろうパターンは2通り。 まず、歩の近くに天野雪輝がいると想定した場合。 この時、未来日記は現在の持ち主である歩自身の未来も含めて予知をするはず。 故に、これから起こるやり取りも全てこちらが把握している事になる、と相手は考える。 更に雪輝が電話に出ない事から、こちらが雪輝と信頼関係にあるか、あるいは雪輝を力づくで従えているかを想定するだろう。 この場合、相手は下手に出てこちらを刺激しないよう立ち回るはずだ。 通話を始めてしばらくはこちら側が有利に立ち回れるだろう。 ……だが、雪輝本人が実際にここにはいない以上、いずれボロが出る。 更に、通話相手から日記の情報を聞き出そうとしても、雪輝本人から未来日記の情報を聞き出さない事に違和感をもたれる可能性が高い。 結果的に、相手に不信を与えるだけだ。それは好ましくないし、情報も十全に得られまい。 そして、歩の近くに雪輝はいないと想定した場合。 天野雪輝を中心とした予知である以上、未来のやり取りが歩たちには分からないだろう、と考える。 そうなれば後は駆け引きになるが、やはり自分達が未来日記について知見が少ない事が痛い。 必ず彼は、無差別日記を取り返そうとするだろう。それこそ誤情報やブラフを使って。 厄介な事に、自分たちにはその真偽を見極める術は雪輝から真実を聞くくらいしかないのだ。 場合によっては対価無しで無差別日記を引き渡す流れになりかねない。 つまり、どちらにせよここで相手にペースを握られてはならない、という事。 その為に、思考を入れる間もなくブラフをかけるのだ。 天野雪輝本人でなくその知り合いならば、電話相手が雪輝かどうかを確かめるだろう。 最初のもしもし、で向こうはそれは確認できたはず。 だから相手の応答の直後、間髪入れず登録された人間の中から該当する名前を選んで呼びかけてみればいい。 ここで優位を得ておけば、情報を引き出しやすくなる。 相手が秋瀬或である可能性は五割以下だが、実際問題それが正解かどうかは合っているに越した事はない、程度のものだ。 要は、こちらが有能な人間であることを知らしめられればいい。 無差別日記がこちらの手にあることが一安心であると評価されれば、無闇に手に入れようとはしないだろうからだ。 信用はされずとも、信頼を得る事ができればいいのである。 ……まあ、善良な一般人なら上の全てが杞憂であるのだろうが、備えあれば憂いなし。 いずれの場合であろうと、この相手からは得られるものを得ておかねばなるまい。 ――未来日記。 “神”の傀儡の一人、ムルムルに繋がる蜘蛛の糸であり、また重要人物と目される天野雪輝の『大切なもの』でもある。 何より、未来の情報を得られるという最高のアドバンテージをもたらすアイテムだ。 東郷との交渉の最後の一押しにとって、これ以上の札はあるまい。 そして、もう一つ。 このアイテムの重要性を押し上げる要素がある。 『――デウスはもういない。 そして新しい神が新しくゲームを開いただけじゃ。 人数は大幅に増えてしまったがな。やる事は今までと大して変わらんよ』 このムルムルの言葉があまりに重要な意味を持つのだ。 フーダニットを考える際の、今のところの最大の手がかりとなる。 そして、この言葉の直前に1st、おそらく雪輝が言った台詞、 『どうなってるんだよこれは? 日記は? デウスは!?』 これらについて、文脈を読み解いてみよう。 デウス、とは言うまでもなくラテン語で神を表す言葉だ。 ギリシア神話の最高神ゼウスの語源であり、 また日本のキリシタン間ではキリスト教の神を表す単語として定着している。 要するに、最高神や一神教の神を表す言葉として解釈するのが自然な言葉である。 そして、ムルムルの言葉の“新しい神”について。 前後の文脈から考えて、古い神デウスがいなくなり、新しい神が現れた、と読み取るのが自然だ。 同時に、新しい神が“新しいゲームを開いた”という事は、『前のゲームも存在した』という事も分かる。 ……ムルムルに“やる事は今までと大して変わらない”と言われている事から、 おそらく1st、天野雪輝は、『前のゲームの参加者』なのだ。 それは相当に血生臭いもの――殺し合いであったのだろう。 しかも、『未来日記を利用した』殺し合いだ。 1stという呼び方は、おそらく『前のゲームの参加者』の1stだと推測できる。 未来日記が複数ある可能性を考慮すると、参加者全員にそれぞれ未来日記が配布されている可能性が高い。 つまり、未来日記は『前のゲーム』において、重要な位置を占めるギミックだったのだ。 そして、“やる事は今までと大して変わらない”という言葉からは、もう一つの推論が導ける。 それは、 【『新しいゲーム』は、『前のゲーム』の“見立て”ではないか】 という事だ。 見立てとはあるものから別の事物の要素を感じ取り、言い表す事を言う。 分かりやすいのはいわゆる見立て殺人だろう。 推理小説などに良くある、童謡や民話、伝説、碑文などの文面に沿って行われる殺人である。 見立て殺人は殺人の順番を錯覚させたり、過度の装飾で証拠を埋もれさせる、といった目的で行われるのだが、割愛。 そして見立ては、一種の様式美でもある。 仮に『新しいゲーム』が『前のゲーム』の見立てだった場合、『新しいゲーム』で一人だけを選別する意図が感じられないのは説明がつく。 『前のゲーム』では生き残れるのが一人だったから、『新しいゲーム』でも生き残れるのは一人、となるのはおかしい事ではない。 だからこそ、『前のゲーム』を知ることは、『新しいゲーム』を打開するに当たって非常に重要なものとなる。 『前のゲーム』のルールと、未来日記がどう活用されており、どのような限界があるのか。 それを、電話の相手から引き出さねばならないのだ。 『前のゲーム』の見立てであるならば、『新しいゲーム』でも同じノウハウが生かせるのだから。 しばしの沈黙。 そして、相手の返答が返ってくる。 『……大した勘の良さですね、歩さん』 * 鳴海が、傍目から分かるほどに一瞬だけ眼を見開いた。 どうしたのかと踏み出そうとする前に、鳴海はさも平然とした表情を取り戻して流暢に言葉を繋いでいる。 多分、動揺したことは電話相手に全く悟られてないだろう。 ああ、こいつでもこんな表情をするんだという安堵と嘲り、すぐに立ち直った事への尊敬と嫉妬。 黒い感情を抱いてしまった事に気付いて、どんどんと自己嫌悪が増してくる。 さっきから、俺はおかしい。 * 「なに、それほどでもないさ」 冷静に考えれば偶然の可能性が高い。 自分の名前はあの時火澄がポツリと洩らしている。 今の状況下、ブラフとして名前を出すなら誰でも思いつく選択肢になってしまっているだろう。 ブレード・チルドレンの関係者以外には、だが。 そして、このことから浮上する可能性がもう1つ。 最初は天野雪輝、あるいは無差別日記に関する事項がこの電話の目的であると想定したが、 相手が何らかの手段で鳴海歩の情報を握っており、自分との交渉が目的であった場合も考えねばなるまい。 自分がこれまで本名を名乗った相手は安藤と東郷のみということから伝聞情報は除外していい。 故に、他の情報ソースとして、支給品あるいは『“神”陣営から直接情報を得ている』場合を想定。 この場合、最も警戒しなければならないのは最後のパターン。 つまり、電話相手が“神”がこの殺し合いにわざわざ参加させた手駒だという場合だ。 殺し合いという状況そのものが目的ならば、場を撹乱させる内通者を紛れ込ませている可能性は極めて高い。 ……そして、内通者を通じて“神”陣営が自分にコンタクトを取ってくる可能性は0ではないのだ。 一番最初の時、“あの”火澄を集衆監視の目の前で殺したのだから。 その意味は、あまりに重い。 殺し合いの参加者の選抜基準に意味があるのなら、わざわざ火澄を見せしめに選んだ事にだって相応の意味があるに違いない。 あれは明らかに、火澄が鳴海歩以外に殺される事の意味を知るものへのメッセージだ。 アサコ、と呼ばれた女性の場合は、単に彼女最初に反抗的な態度を取ったから見せしめにされたに過ぎない。 だが、火澄の場合は全く違う。 『ムルムルがトウモロコシを放り投げる事で見せしめを指定している』のだ。 ムルムル本人は火澄に対し運がない、という様な事を言っていたが、確かに彼は運がなかった。 おそらく火澄は、見せしめにされる為だけにここに招かれたのだから。 あの時のムルムルの歪んだ笑みは、見せしめにされる火澄が運命を語った事を皮肉っていたのだろう。 考えれば考えるほど――嫌な予感が頭を掠めて仕方ない。 いずれにせよ、だ。 名前には名前で切り返す辺り、どの場合でも相手の判断力と決断力は相当だ。 とはいえ相手が沈黙したところを見ると、やはり秋瀬或かその関係者の可能性が極めて高いだろう。 あるいは電話相手の背後から僅かに聞こえた男の声が或本人で、電話相手は別人なのか。 僅かでも話の内容を聞き取れたならある程度の確証の元に行動できるのだが、それを愚痴っても仕方ない。 今のところ、秋瀬或らしき人物には対話の意思がある。 仲間がいる事から考えて、殺し合いに乗っていたとしても対応次第で敵対は避けられる相手と判断。 そして、秋瀬或の声は続く。 『どうやらあなたはその携帯の機能に気付いているようですが……それをいったいどうする気か、単刀直入に聞かせていただいてもよろしいですか?』 ……やはり目的は天野雪輝と無差別日記の可能性が濃厚。 “神”陣営の人間というのは杞憂だと思って差し支えあるまい。断定は早計だろうが。 やはり相手の情報が足りないな、と心の中で毒づく。 (あいつがいれば少しは楽なんだろうけどな……) そんな事を思い、苦い顔をした。 確かに彼女が今隣りにいたならば、相手の事細かなプロファイルを炙り出してみせるだろう。 悔しい事に、頼りになるのは間違いない。 たとえ彼女の正体が自分の推理通りだったとしても、自分にずっと手を貸していてくれたのは事実なのだ。 それも、自分が危難を乗り越える事を信じて、時間稼ぎの為にリストカットさえしてしまうほどに。 (……あいつが巻き込まれてる可能性も相当高いか。 まあ、巻き込まれてなくても自分から首突っ込んでくるような奴だしな……) 心配か、と聞かれたら全力で横に首を振る。 だが、巻き込まれていない方がいいかと聞かれたら、きっと否定できないだろう。 たとえ、彼女がどれだけ頼りになったとしても。 ……とはいえ、今目の前にいない人間を頼りにしても仕方がない。思考を戻す。 僅かな会話からでも充分に分かる相手の性格は、大胆不敵にして冷静沈着。 論理的な思考と場のコントロールに長けた自信家だ。 厄介な相手だと判断。 「……兄貴のことを考えてる所に、兄貴に性格の似たヤツを相手取る、か。 やれやれだ」 ぼそりと電話から口を離して、本当に小さく呟く。 「まず初めに言っておこう。俺たちはこのゲームに乗る気はない。 とりあえずはこの首輪を外すつもりだ」 まずはこちらの立場を表明する事で、相手が切って入ってきたのをそらし受け流す。 相手にペースを掴ませない。 今のところ、相手が殺し合いに乗っているという証拠はない。 その意味で協調できる可能性が高い相手であり、無闇な敵対をしたくはない。 向こうも同じだろう。 だが、相手はいささか我が強い。 全面的な信頼が出来ない以上、こちらも切るカードを慎重に選び、利用されるだけの捨て駒にならないよう立ち回る必要がある。 ……いや、むしろ相手を上回る気概で望む。 自分も随分、強気になったものだと鳴海歩は思う。 妙な連中に毒されすぎでもしたのか、いつも信じてくれる人間を得たからか。 切ったカードは、言論の自由。 “その過程においては何の反則も無い” ムルムルの言葉通りなら、首輪を外すことすらも“神”の想定内なのだ。 ならば、どんな発言をしようと粛清されることはないし、言論や表現に検閲が入る事だってまずありえない。 たとえそれが首輪を外すといった内容であったり、あるいは連中に反抗するものであったとしても。 ああ、気分が良くない。 全てが誰かの掌の上で踊っているだけに過ぎないこの感覚を、鳴海歩は嫌になる程刻み付けられている。 『……僕らもですよ』 或の言葉はとりあえずの不戦条約に等しい。 完全に信用が出来ない口約束だが、ないよりはずっとマシだ。 そして、僕“ら”と仲間の存在を認めるのはその証拠の提示だろう。 「鳴海、大丈夫か……? さっきから表情が難しいけど、俺が代わろうか?」 無言で背後に片手を突き出し、気にするなと意思表示。 言える訳がない。 ある男へのコンプレックスなど、ぶち撒けられる筈がない。 だが、見立てという様式美の可能性といい“神”というあからさまな呼び名といい、 一人の男の姿を思い浮かべずにはいられないのだ。 自分のスタート地点が教会だったのも、誰かの意思の介在としか思えない。 ミズシロ・火澄は、運命の構図を全く無視する形で死んだ。 それも、おそらくは全て“神”の意図に則って。 ……だが、それは本当に構図を無視していたのだろうか? あの男にも、火澄は殺せないはずだった。しかしそれが本当である保障はない。 自分が推理する限り、あの男の最終目的は自分にあの男自身を殺させることだ。 ……構図上自分が火澄とあの男を殺し得るのなら、あの男が殺せるのもミズシロ・ヤイバだけとは限らないのではないだろうか。 そう、あの男が火澄を殺せないと断定することは出来ないのだ。 ぐっ、と唇を噛み締め、余計な注意を払わないことにする。 電話の相手は想像以上に厄介で、気が抜けない。 今はそちらに注力すべきだ。 「そこでこの携帯を手土産に『天野雪輝』と協力関係になりたいと思っている。 だが、俺たちは彼の事を知らない。 だから教えてくれないか? 彼がどういう人間なのか」 言論の自由を保証した代価として要求したのは、天野雪輝の人となり及び彼にまつわる周囲の環境。 即ち、それには未来日記についても含まれる。 当然ながら現状ではまず一から十まで教えられる事はないだろう。 しかし、この相手ならここで教えないという選択肢が悪手である事も知っているはずだ。 何故ならこちらは協力の意思を見せているだけ。しかも、無差別日記の所有すら認めているのだ。 何一つ教えないというのならこちらからの信頼を失うし、結果的におそらく友人であろう雪輝の不利にもなりかねないのだから。 無論、この秋瀬或が天野雪輝の敵となる事を選んだ可能性もある。 無差別日記は放置しておくにはあまりに危険だ、雪輝を始末しない保証はない。 ……しかし、友人という立場ならやはり無差別日記を利用する方向性の方が有り得そうではある。 まあ、どう転ぼうとこの質問である程度は相手の立ち位置が見極められる。 『雪輝君からは、まだ連絡がないんですか?』 勿論、ない。 もしこれまでに連絡があったのなら、彼から得た情報を用いたブラフや駆け引きができる。 それをしないという事からの当然の疑問だろう。 ……雪輝から連絡を受けた上で敢えて連絡がないふりをし、情報の確度が高められればよかったのだが。 次それをするとしたら雪輝相手にカマをかける事になるが、これまで連絡がなかった経緯から彼は電話のない場所にいると考えられる。 あるいは、この殺し合いの会場に無差別日記が存在する事すら知らないか、電話する事にすら思い至らなかったか。 とにかく、先刻のユノという少女の存在を考えれば、雪輝相手に下手な事をすると余計な敵を増やす事になりかねない。 「ああ、だがユノって子とは連絡を取った。彼女が天野雪輝と合流したら再び連絡を取る手はずになっている」 『ユノ! ――ガサイユノですか、電話番号は確認しましたか? ……ええ、ええ。 ……なるほど、彼女に間違いないですね』 他の知り合い、例えば雪輝に聞きただせば分かる事。 ここで他人に偽名を使う意味はない。ならば、ガサイユノはまず本名だ。 たとえ同じユノという名前の参加者がいたとしても間違う事はあるまい。 『雪輝君は……とても臆病ですが、運命と戦う気概を持っている少年ですよ。 僕も彼とは早く合流したいと思っています。 ……が、』 ……上手い言い方だ、と内心呟く。 臆病、という性格を教える事でこちらと相手の接触をスムーズに行えるよう取り計らい、 気概を持っている、と付け加える事で雪輝の魅力――言わば商品価値を演出している。 そのくせ、具体的な事は何一つ教えていない。 そして、次に繋ぐ言葉だ。 おそらく、それが相手の本当の一手だろう。 『……この殺し合いが始まった当初、惜しい事に亡くなられた少年がいましたよね。 周りの方々の言葉によれば、火澄さん、と仰いましたか。 あなたが本当にアユムさんであるのなら、彼の話した『あなた以外には殺されない』という事がどういうことか、教えて下さいませんか? それを話してくださったなら、僕はあなたの欲しい情報を必要なだけお話しましょう』 「…………!」 そうきたか、と歩は引きつった笑いを浮かべる。 これは踏み絵だ。 こちらが信頼できる相手かどうか、個人を特定するという的確に弱点を射抜く一撃。 先刻、歩と名指しされた時に敢えて否定せず平然と振舞ったのを逆に利用してきた。 自分が歩でないと否定すればその時点でこちらの弱みとなるし、自分が歩だと肯定するのなら黙っていては情報が得られない。 そして、火澄についてしっかりと説明する事ができるのは自分を含む僅かな人間だけ。 この相手なら適当な嘘をついても必ず僅かな綻びから嘘だと見抜き、指摘するに違いない。 しらばっくれるのはそれ以上に悪手。千日手になるだけだ。 今この電話をしているのが歩でないならばそれを認めて、相手の独壇場となるに任せるか。 歩であるならば火澄の情報について話し、イーブンに持ち込むか。 どちらの場合でも選べる選択肢はひとつしかなく、後者である可能性は参加者数に比べ非常に低い。 そもそも、歩という人間が参加しているかすら現段階では不明なはずだ。 見事な一手、としか言いようがない。 もし自分が歩を騙る別人だったら、情報という情報を搾り取られ、下手すれば無差別日記を手放す羽目にすらなっていたかもしれない。 先刻の厄介という評価を取り下げる。 この相手は厄介どころじゃない。 手強い、と呼ぶのが相応だろう。 敵対しているわけではないのが救いだ。 しかも、その対価として得られるのは最低限の情報だけ。 欲しい情報を必要なだけ、とは一見十分な情報を提供してくれるように思えるが、その実聞かれたこと以外は一切話しませんよということだ。 こちらの思惑外の情報をおまけでつけてくれる事は、この秋瀬或はしないだろう。 収穫があったとすれば、やはり先刻の名前の特定はカマかけであり、支給品や“神”から得た情報ではないということくらいだ。 そして、火澄の事は東郷や安藤にも話していない事である。 “神”について確証のない今話すべき事ではないと判断したが故に、ブレード・チルドレンにまつわる一連の事こそ話しても個人単位での詳しい事は話していないのだ。 東郷にあの聖堂でのことを指摘される可能性もあったが、火澄も含んだ個人の情報はこれから依頼への『報酬』として語るつもりだった。 これを或相手にこちらから切る事が出来なかったのは中々に痛い。 だが、相手にも一つだけ誤算があるだろう。 それは、自分が本当に鳴海歩だという真実だ。 「了解だ。少し長くなるし、到底信じられないかもしれないが、いいか?」 切れるカードを失ったとはいえ、これは相手から十全の信頼を得る機会でもある。 鳴海歩だからこそ、言える言葉。 相手に語るのはブレード・チルドレンの概要と、ヤイバと清隆の所業。 そして自分と火澄の対応関係について。 これならば個人の持つスキルなどを洩らす事はなく、情報流出によるリスクは非常に低い。 話しても痛くない情報を話す事で信頼を勝ち取れるのだから、利用しない手はない。 『え? え、ええ……。 あなたが歩さんだと確信できれば、それでいい訳ですからね』 淀みない返答に、秋瀬或は戸惑いを隠しきれていない。 いくらこの相手でも、こちらが本当に歩だったとは想定外だったのだろう。 情報の信頼性を高める為、わざわざフルネームで名乗り直す事にする。 「そういや、自己紹介がまだだったな。鳴海歩だ。 ……いくつかの名前を使い分けてるから、あのユノって子にはミズシロ・ヤイバと名乗ったけどな」 ユノが或に追求しても余計な疑惑を得ないよう予防線を張り、そして改めてミズシロ・ヤイバに端を発する呪われた血脈と神の兄弟の構図について語り始める。 * 時系列順で読む Back 銀の意志Ⅰ Next 銀の意志Ⅲ 投下順で読む Back 銀の意志Ⅰ Next 銀の意志Ⅲ 068 指し手二人 秋瀬或 077 銀の意志Ⅲ 077 銀の意志Ⅰ 安藤(兄) 077 銀の意志Ⅲ 077 銀の意志Ⅰ ゴルゴ13 077 銀の意志Ⅲ 077 銀の意志Ⅰ 鳴海歩 077 銀の意志Ⅲ 068 指し手二人 リヴィオ・ザ・ダブルファング 077 銀の意志Ⅲ
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《銀の鍵》 通常魔法 自分のフィールドに「錬金釜-カオス・ディスティル」が表側表示で存在する場合にのみ発動できる。 手札・デッキから「錬金獣・銀のムーンフェイス」1体を特殊召喚する。 手札、デッキから《錬金獣・銀のムーンフェイス》を特殊召喚する効果を持つ。 手札を1枚使用して攻撃力500の直接攻撃可能なモンスターを呼び出すのはあまりに割に合わない。 このカードの使い道はデッキ圧縮後、呼び出したモンスターを《黒の過程-ニグレド》のコストにするくらいか。 関連項目 錬金獣 《錬金獣・銀のムーンフェイス》 《錬金釜-カオス・ディスティル》
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銀の不死鳥 質問の端々から被害妄想及び妄執に取り憑かれたようなことばかりを書く末期患者。 すぐにでも「病院が来い」 傾向 主に多い質問としては、 「荒らし」について 「個人情報」について 「知恵コイン」について こと、異常なまでの反応を見せては自分を「低能」だのなんだのと喧やかましい くらいに書く。 藻前、早く病院行け。 スレ検証 ◎ 異常なまでに知恵コインへこだわる 普通に知恵袋に参加してコインを0枚にすることって不可能ですよね? コインが無くなったらレベルが低い私は知恵が無いと判断されるのでしょうか? 俺自体何にも変化はないと思うのですが^^ 知恵コインって何か意味があるんですか? 俺はこんなのいらないので全部差し上げたいのですが 欲しいなら欲しいってそのまま書け。 そのたびにクソスレ立ててんじゃねえよ。 最後の質問に関しては、5分後に再度同じ質問を投下。 見苦しすぎてワロタ。 魚拓(1) 魚拓(2) 魚拓(3) ◎ たぶん自分のことでもある 俺の知っている人物で、異常な行動をとる人物がいます。 仮にその人物をNとします。 その人物Nはネット依存症で、思い込みが激しく、常に自分が一番正しいと思って いるようです。 ネット上で他人に間違いを指摘されたり、注意されたりするとすぐ癇癪を起こし、 逆恨みして注意された他人のIDを真似てなりすまし、その人物の仕業にみせかけて 悪行を働いたり、 その人物を中傷したり、暴言を吐いたりします。 その行動についてさらに忠告する人物がいると、嫌がらせ行為に拍車がかかります。 また自分と異なった他人の正しい行為や意見に対してでも難癖をつけたがり、 複数のIDを使用し、多数意見のようにみせかけて自分を正当化しようとします。 寂しいからなのかわかりませんが、ネット上で質問をして、それにN自身が複数のIDで 回答する といった常軌を逸した行動は日常茶飯事です。 挙句の果てには、 ネット上で気にいらない人の子供の名前まで情報を入手したようでIDにその名前を使用し 嫌がらせ行為を行うまでになりました。 ここまでくると犯罪だと思うのですが、 このように常識では考えられない行動をとっているNは一体どういった病気なのでしょうか? 考えられるのは精神分裂症とかだと思うのですが、 俺は医学には疎いので、詳しい方に教えて頂けると助かります。 さらに、補足には どうやらNがこの質問に気付いたようですね。 俺も何度もNに病院に行くことも勧めたのですが、自分は正常だと思い込んでいるようです。 どうすればこの可哀想なNはまともな人になれるのでしょうか? 知恵袋でも悪名轟く「ナル」のことを指しているようだが…。 自分のことも入ってるだろ、これ? 魚拓 ◎ 自分の行為を正当化 荒らしに反応する者は荒らし。 この言葉は管理者の管理が十分になされている場合に於いては一理あると思います。 但し、それが今の知恵袋にあてはまると思いますか? 少なくとも荒らしの立場になって考えた場合、 放置されたほうが好き放題荒らせるといったケースもあるかと思います。 これはある意味、荒らしにとっては非常に都合が良い言葉だと思うのですが、 それが荒らしの域を超え、ネット犯罪にまで及んでいる場合はどうでしょうか? 複数の傷ついた人や犯罪の被害者を無視して自分達だけが楽しむのが、 正しい知恵袋のあり方なのでしょうか? こんな大層なことを書いておきながら、別質問の回答には、 しつこいね。小学生を装っている変態参加者ナルトダくん。 おまえの証明方法も俺の証明方法も両方正しいとも言えるけど、 両方間違っているとも言えるんだけど・・・ この程度の証明で良いのなら、 俺もあの質問者さんも最初からわかっている。 あまりにおまえが質問者さんを得意げに罵倒回答していたから、 からかってみただけ。 だから俺があんな回答をしたというのがわからないのか? 期待通り、墓穴を掘ってご愁傷様。 や、 「グレード7ってすごい!my知恵袋の閲覧数が多くて快感」 こんな心理ではないでしょうか? まさしくその通りですね。世間から白痴の7-3と嘲笑されていることすら気が付いてないの でしょう。 図星を突かれると偽サトワの別IDまで出現させて必死の自己弁護。 憐れ。・・・この一言に尽きます。 自分の行為が正当だと言いたいなら、それ相応の使い方しろ。 藻前も十分哀れ。 以上。 魚拓(1) 魚拓(怪答1) 魚拓(怪答2) 対処法 2009年現在、質問にも回答にも出ていないところを見ると、知恵袋から去ったようです。 そのまま放置に限ります。
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登場シナリオ:オリゾンテ大陸 種別:一般ユニット 標準雇用勢力:銀の教団 白銀僧侶部隊の「模造」を脱して、独自部隊になったようだ。 名前 コメント
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SHARPのAQUOSをモニタとして使うと起動時にフリーズする BIOS 1.0.18 グラフィックボードがRADEON でAQUOSをモニタとして接続して起動するとフリーズしてしまうことがある AQUOS LC-37BE2W AQUOS LC-32P1-W AQUOS DS5 の3つで報告有り 原因は現時点では不明 なお、東芝 レグザ、DELL E228WFPでも同様の発生報告有り 出力をHDMIへ変更すると起動したという報告有り Inspiron 545でも AQUOS LC-37EX5 ダイナコネクティブ DY-L1911MN:BIOSのバージョンはA06 で同様の報告有り(接続はD-sub) 下記のクチコミで、DVI EDID信号 保持機の接続によって正常動作したという例あり 「パソコンをAQUOSに(DVI-I DVI)つなげると立ち上がらない」 http //bbs.kakaku.com/bbs/K0000018472/SortID=9440083/
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銀の交差 ◆SERENA/7ps 腰をかけるのに丁度いい高さと大きさの岩がある。 密集していた木の密度もまばらになり、森を抜けたことを知った男は、そんな休憩におあつらえ向きの岩を見つけて座っていた。 濡れた衣服も日光の力で大分乾き、時間もそろそろ正午に差し掛かるといったところなので、男はゆっくりとオディオの声を待つ。 銀色に輝く長髪をなびかせ、右手には彼の人生に欠かせないアイテムであろうサイコロが三つ。 頬に走った傷は男の端正な顔つきを損なうことなく、むしろ修羅場を潜り抜けた男の勲章のような印象さえ与える。 右手に仕事道具、 左手に友との思い出、 背後には彼の夢の礎となった屍、 前方には人生最大のギャンブルと、それに勝った暁に約束される夢を取り戻した日々。 それが、今座っているセッツァー=ギャッビアーニという男だ。 セッツァーには、ここにいる大半の人が感じているであろう焦りや不安といったものがない。 むしろ、その佇まいや雰囲気には、これから午後のティータイムを楽しむかのような余裕さえ感じられる。 頬が緩まない程度には表情を保っているが、隠しきれずに時折表情を綻ばせる。 さらに、オディオの声を今か今かと待ち続けている節すらある。 それもそのはず、今までセッツァーは順風満帆の過程を歩んできているのだから。 戦力の消耗なく易々と二人を殺し、厄介な元仲間を排除すべく情報も散布してきた。 津波に攫われるというアクシデントさえあったものの、ここまでは歩いてきたことによる疲労しかない。 殺し合いの開始時点とほぼ同じ健康状態だ。 どんなに強い人物も、戦って戦って消耗した末に死ぬということもある。 それを考えれば、ベストコンディションに近いという今のセッツァーの体調は他者に対して有利に働く。 「時間だ……一度しか言わぬから聞くといい」 オディオの声が聞こえてくると、待っていましたと言わんばかりにセッツァーはすかさず名簿と地図を出してメモの用意をする。 夢に生きる男、セッツァーは何も世界一強い男を目指している訳ではない。 彼が戦わなくても人は死んでいくし、最後まで残るためにはできるだけ体力の消耗も避けたい。 つまり、彼が戦わなくてもどれだけの人が死んだか分かる死者の名前の宣告は非常にありがたいものだ。 禁止エリアのチェックも終わり、次は待ちかねていた死者の名前が告げられる。 デイパックの中からチンチロリンのドンブリを取り出す。 右手の中で転がしていたサイコロを三つ、ドンブリの中に投げる。 陶器とサイコロのぶつかりあう音が聞こえる。 チンチロリンとは、ドンブリまたは茶碗の中にサイコロを三つ転がし、出た目で勝負するギャンブルだ。 たった三つのサイコロに己が運命託し、競う世界。 カノン 二二三。 フロリーナ 六六一。 サイコロを振るのに特に意味はない。 ただ、ギャンブラーとしての習性が無意識にそうさせているだけだ。 名簿で該当する名前を見つけては、セッツァーは黙々とその名前に斜線を入れると同時にサイコロを振る。 「エドガー・ロニ・フィガロ」 その名前を聞いた瞬間、セッツァーはニヤリと、口の端に笑みを刻んだ。 サイコロの目が示した数を見て、セッツァーはそれ以降サイコロを振るのを止める。 それはエドガーの現状をピタリと言い当てたかのような目だった。 ◆ ◆ ◆ オディオの声が聞こえなくなってからも、セッツァーはしばらくその場に座り込んでいた。 エドガー・ロニ・フィガロというかつての仲間のことを考えているのだ。 誰が殺したかは知らないが、ありがたいことだ。 そう思わずにはいられない。 あの男は本当に厄介だったからだ。 エドガーは一国の王とは思えないほどの気さくな人柄と、王に必要とされる資質を見事に兼ね備えていた。 国民にとても人気があったらしいが、セッツァーも納得できるものがある。 無類の女好きではあるが、ああ見えて弟想いの一面もあるのだ。 そして、忌々しいこの首輪を何とかできてしましそうなほどの知識を有している。 ただ強いだけの輩とは違って、エドガーにはセッツァーの夢の邪魔になりそうな技能を数々持っていたのだ。 思えば、個性の強い仲間たちの中でも、エドガーはいつも中心にいて皆を纏め上げていた。 王としての判断力と決断力、豊富な知識、気兼ねなく付き合える人柄、いざという時の行動力、戦闘力、集団を統率する能力。 敵に回せば、これほど厄介な人物もそうそういまい。 王というだけあって、謀略や偽計にも強い。 旧知の仲というのを利用して、後ろから刺すというのが難しいように思えた。 そのエドガーが死んだ。 顔も知らぬ他の10人の死よりも、エドガーたった一人の死が果報であった。 マッシュあたりは泣いているだろうが、セッツァーにとっては歓迎すべき事態だ。 「こんなことが無ければ、アンタとはいい友人になれたかもしれないが……」 出た目は、一二三のヒフミ。 倍払い。 チンチロでは一番出してはいけない目だ。 「これがアンタの出した目さ」 エドガーは殺し合いというギャンブルの中で、命という賭け金を失ってしまったのだ。 敗者は顧みられることなく打ち捨てられる。 それがギャンブルの世界の掟だ。 「あの酒を全部飲んでしまったのは惜しかったな」 老酒という初めて飲んだ酒は珍しさもあってか、腐っていたセッツァーの胃にも染み渡っていた。 ついつい全部飲んでしまったが、今はその無計画さを少しだけ反省する。 こんなことなら、全部飲んでしまわずにとっておくべきだった。 エドガーの死に乾杯、といきたいところだったが無い酒は飲めないので仕方ない。 「さようならだ、エドガー」 死者の国にいるであろうエドガーに向けて、右手でグラスの形を作って乾杯の仕種だけをする。 「嫌いじゃあ、なかったよ……」 誰よりも高い場所で、誰よりも風を感じるために、セッツァー=ギャッビアーニは夢を追いかけ続ける。 ◆ ◆ ◆ ただ、ひたすらに。 ただ、がむしゃらに。 銀の髪をした男は捜し求める。 疲れというものを無視して、木々を掻き分け、どこまでも愚直に。 北へ東へ西へ南へ、ありとあらゆる方向に動く。 それは最早彷徨うと言った方が正しいかもしれない。 額から流れ出る汗で、美しい銀髪が額にへばり付く。 塗られていた気品のある香油はすでに汗で流れ落ちてしまった。 最早息を整えることもできずに、口は激しい呼吸を繰り返す。 男は決して、動き続ければこうなるということも知らぬほど頭が悪いのではない。 このままでは、誰かに襲われた際、十分な迎撃ができぬ可能性もある。 体中だって、さっきから立ち止まって休憩することを要求している。 それでも、男は立ち止まらない。 ロザリーという、世界で一番美しい4つの文字を胸の中で唱えながら、男――デスピサロは進む。 勇者の仲間である女から、ロザリーが生きているという言葉を聞いて、こうしてピサロは休憩すら惜しんで動き回っている。 その言葉を肯定することはできなかった。 かと言って、否定する材料もない。 今にして思えば、名簿を消し飛ばした自分の短慮がいけなかった。 結果として、今のピサロの状況が出来上がったのだ。 念のために、聞こえてくるオディオの言葉に耳を傾けたが、そこにもロザリーの名は聞こえない。 こうして走り回っている間にも、あの言葉が口からのでまかせではないかという疑問も抱く。 ひょっとしたら今の走り回るピサロの醜態をどこかで見て、笑い転げてるのかもしれない。 もしもその時は、八つ裂きにしても飽き足りない。 ようやく会えた人間には、名簿を燃やされてしまいコケにされてしまった。 人間が持っていたデイパックを念のために探したが、やはり見つからず、怒りのままに燃やした。 用途不明の道具だけは乱暴に回収して、こうしてまた走り回っているのだ。 世界を地獄の業火で焼き払っても収まらぬほどの怒りが溢れ出そうになる。 何もかもが今のピサロを嘲笑っているかのようだった しかし、それでも歩みを止めることはできない。 万が一、億が一、兆が一、それがあれば、ピサロは千載一遇の機会を得たことになるからだ。 もう一度ロザリーをこの手に抱けるのならば、もう一度ロザリーの笑顔が見られるのなら、何だってする。 思い出す。 始めは、物珍しい動物を見るかのような気持ちだった。 森の中で人間に虐待されていたエルフを見つけ、保護をした。 襲っていた人間は見るからに盗賊風の格好。 てっきりピサロはそのエルフの娘に礼を言われるかと思いきや、何も殺さなくても……、と言われたのだ。 その言葉にピサロは気分を害するどころか、面白いことを言うものだと、このエルフの娘に興味を抱いた。 地上で世話になっているロザリーヒルという村の名前にちなんで、名前のないエルフにロザリーと名づけた。 魔族とも人間とも違う種族であるエルフは森の中で生き、他の種族に姿を見せることは滅多に無い。 そう、始めは好奇心だったのだ。 しかし、出会いを重ね、逢瀬を繰り返すうちに、ピサロもロザリーも互いを想うようになっていた。 人間に対する評価だけは一致しなかったものの、二人の仲良くなる速度はあっという間だった。 そして、これからという時にピサロは人間を滅ぼすため、ロザリーの元を離れ、悲劇は起きたのだ。 どうしてロザリーに対する警備をもっと万全にしておかなかったのか悔やまれる。 だが、こんな殺し合いの場でもだ。 ロザリーに会えるのなら、感謝せねばならない。 腕の中でどんどん冷たくなっていくロザリーをもう一度見ないようにするため、ピサロは走り続ける。 そんな時だ、銀の交差が起こったのは。 ◆ ◆ ◆ ようやく腰を上げ、移動を開始しようとしていた銀髪の男セッツァーの前に、同じく銀髪のピサロが出会った。 襲ってこないようなので、挨拶をしようかと思っていたセッツァーよりも先に、疲労を隠し切れない声で要求する。 「また人間か、まぁいい。 名簿を寄越せ」 いきなり有無を言わさぬ要求だ。 しかし、口調は命令形だが、肩で息をしているせいか威厳に欠ける。 セッツァーは武器を構えていた武器を下ろし、とりあえず友好的に対話を試みてみることにした。 「おいおい、いきなりだな。 それよりも――」 「早く渡せといっている。 渡す気がないのならば、貴様の素っ首を叩き落としてから奪ってもいいのだぞ?」 取り付く島も無いとはこのことだ。 ピサロはセッツァーの名前にも素性にも興味はなく、ただ名簿を渡すことを要求している。 交渉が決裂した時のために、ピサロは手に武器を握っている。 セッツァーも、ピサロの力ずくという言葉が嘘ではないことを物腰から察し、考える。 油断なく構えられたピサロの刀は妖しく輝いている。 汗だくなのが残念だが、文句なしに美丈夫と言える整った顔立ち。 隙らしい隙はなく、少なくとも戦闘に関しては素人ではないどころか、かなりのものでありそうだ。 見るからに疲労の極致といったところだが、一撃の下に屠るといったことは難易度が高そうだ。 体力を温存しておきたいセッツァーにとって、戦うのはできるだけ避けたい。 もちろん、やれると思ったら躊躇なくやるが。 名簿は確かに読んでるし、必要ないと言える。 知っている仲間の名前もすでに暗記済みだ。 トルネコから奪った分のものもあるし、一個渡したところでセッツァーには何のデメリットも無い。 ピサロに襲われることを考えると、渡した方がいいだろう。 だが、ただ渡すだけでは面白くない。 「渡してもいいが、条件がある」 「何だと?」 「名簿はここにある。 代わりにそっちも何かくれないか?」 セッツァーが手にしたのは、ピサロも見覚えのある名簿。 確かに、ピサロが深夜に消し飛ばしたものだ。 ピサロが駆け寄ってセッツァーの手から奪い取りそうになる。 が、その前にセッツァーは先手を取る。 ファイアの魔法を唱えて、名簿が燃えない程度に距離を離して、今度はセッツァーが要求する。 「悪いが、こっちもボランティアや慈善活動家じゃないんでね。 タダで物をやる趣味はないぜ」 最初に出鼻を挫かれた分、今度はセッツァーがイニシアチブを取ろうとする。 トッシュやヘクトル、ブラッドに対して武器を提供したり、回復魔法を唱えてやったのは、セッツァーなりに利益があったからだ。 例えばヘクトルには見知らぬ人を回復してくれるいい奴だと思っただろうし、トッシュも武器を提供したことで、セッツァーに対して警戒を解いただろう。 さらに、エドガーやケフカのことを嘘の情報を込めて伝えるという目的もあったし、ああいった人物にはできるだけ親切に接していた方がいい。 だが、今回のピサロの場合はどうであろうか? 名前を名乗ることすらせず、要求が受け入れられなければ襲うとまで言っているのだ。 これで無償で名簿を渡したとして、この男はセッツァーに感謝するであろうか? 答えは間違いなく否。 名簿を渡せと言っていることは人探しをしているのに間違いないだろうが、名簿を確認した後、ピサロは迷いなくここから去るであろう。 殺すつもりなら、最初から襲ってくるからだ。 そうなれば、もうピサロはセッツァーのことなど思い出さないだろう。 ピサロの記憶の中でセッツァーという男は認識されず、路傍の石のような扱いになってしまう。 それではメリットも何もない。 第一、セッツァーはまだピサロの名前すら聞いてないのだ。 なら、そのような人物とは友好関係を結ぶのは考えないようにする。 今までのように信用を得ることをせず、単純な物々交換を持ちかける。 もちろん、できるだけふんだくるつもりでだ。 「よかろう、その方が早い。 人間ごときに借りを作るのは意に沿わないからな」 一方、ピサロも要求を突きつけてからセッツァーが名簿を取り出すまで、今すぐにでも力ずくで奪い取りたくなるのを必死に抑えていた。 先ほどの炎を操る少年のように、破れかぶれになって名簿を燃やされては困る。 その経験があったからこそ、ピサロはなんとか自制をしていた。 ロザリーの存在を確認するため、逸る気持ちを抑えつける。 そうして、セッツァーが名簿に火をつけそうになった時は驚いたが、取引ならむしろ望むところだ。 人間のような生き物に借りを作ることなど屈辱だし、無償の善意で何かしてくれる人物よりは対価を要求してくれる方がありがたい。 それでロザリーの存在が確定すれば、今すぐにでも捜索を再開するし、いなければ腹いせに目の前の男を血祭りに上げるだけだ。 デイパックをセッツァーの方に放り投げる。 「水でも食料でも、好きなだけ持って行くがいい」 両手に持ったヨシユキとヴァイオレイターだけはそのまま所持し、その他の道具が全て入ったデイパックを渡す。 セッツァーも些か驚く。 ピサロの譲れないギリギリの線を見極め、法外な相場で渡そうとしていたところを、アッサリと全部渡されてしまったのだ。 しかし、セッツァーもめざとくピサロの手に持たれたヴァイオレイターに目をつける。 「そっちの短い方の獲物は……」 「……欲しいのか?」 その瞬間、ピサロの声が一段低く響いた。 空気が一瞬凍ったかのようだった。 次にもう一度同じことを言えば殺すというピサロの無言の脅迫。 ピサロもロザリーを見つけた場合、守るべき武器が必要だからだ。 これとヨシユキだけは渡せない、何があろうとも。 セッツァーの目に、ピサロの決意と殺意が伝わる。 気圧されそうになるほどの、圧倒的な殺意だ。 セッツァーも一瞬、鳥肌が立つのを抑えられなかった。 前傾姿勢、すなわち戦闘態勢を取り、もう一度ピサロが言う。 「欲しいのかと、聞いている」 「……冗談だ、止めとくよ」 首を振って、セッツァーは否定する。 今から勝負して勝てないとは思わないが、負けないと断言できる自信もないからだ。 この男には何か強く執着するものがある。 それを知っててこれだけ無様な姿で名簿を、ひいては名簿に載っている人の名前を探しているのだろう。 そして、それを全力で守るために、何でもするつもりなのだ。 勝てないと分ってても、例えば子を守る母のように必死に、執念で敵に喰らいつく。 そしてそういうタイプとは、得てしてしぶとい。 ピサロの強さもある程度読めるセッツァーにとって、あまり手合わせを願いたくない組み合わせだ。 思考の読み合いを放棄して、ただひたすら前に出てくるトッシュと同じように、こういうタイプと戦うのはデメリットの方が大きい。 だが、それ故につける隙はある。 それさえ分れば、セッツァーもやるべきことはよく自ずと理解できる。 投げられたデイパックを掴み、セッツァーは中身を探ってみる。 そして、支給品らしきものを二つもらうことにした。 一つはピサロの元からの支給品。 もう一つはオディ・オブライトという人物の支給品だったものが、複数の人物の手を介して現在はピサロの手に渡ったものだ。 二つともピサロには必要ないものだったらしく、交渉は成立した。 さすがに地図やコンパスをもらう必要はない。 水や食料は消耗品として必要不可欠なものだし、もらっても不自然ではない。 しかし、人探しに必要不可欠であろうコンパスや地図をもらうと、ピサロの逆鱗に触れる可能性がある。 「さて、こんなもんでいいか……」 名簿という無料で手に入ったもので、これだけふんだくったのだ。 セッツァーは惜しげもなく名簿を手放し、ピサロに放り投げる。 待ちかねていたかのように、ピサロが無造作に投げ捨てられた名簿に駆け寄る。 しかし、セッツァーのやるべきことはまだあった。 いずれこの男と戦わねばならない時が来た場合に備え、探りを入れるのだ。 ピサロが落ちていた名簿に手をかけたその瞬間、セッツァーが口を開く。 「女か?」 多分に嘲りを含んだ問いをピサロに投げかける。 人類の半分は女だ。 帰納的に、人探しをしているとはすなわち、探し人は半分の確率で女である。 それが決して見当外れの推測ではないことを、セッツァーは半ば確信していた。 セッツァーの読みは当たる。 その声を聞いた瞬間、所詮貴様も下卑た輩ということかと、ギロリとピサロはセッツァーを睨み付ける。 「下種めが……!」 「おいおい、それじゃ当たってるって言ってるようなもんだぜ?」 ついに、セッツァーはピサロの隙を見つける。 執着の対象が女なら、その女をどうにかしてやればいいのだ。 人質に取るもよし、意図的に遠ざけて決してピサロと探している女が会えないようにすれば、疲労も省みず探し続けるピサロはいつかきっとガス欠を起こす。 睨み付けた後、もどかしく名簿に視線を走らせていたピサロはある一点を見つけた途端、弾かれたように飛び出す。 端からここに誰も存在しなかったのような全力疾走に、女の名前などできる限り情報を絞り取っておきたかったセッツァーは肩を竦める。 追いかけることもなく、おお速い速いとセッツァーは余裕の笑みでピサロを見送った。 結局セッツァーはピサロの名も、ピサロの捜している女の名前も知ることはできなかった。 だがそれはそこまで問題ではない。 参加者は減ってきているし、あれだけの見目麗しい男だ。 特徴的な耳の形も相まって、聞き込みをする際にも困らないだろう。 セッツァーも今回何か損をした訳ではない。 依然、彼の目の前にさしあたっての障害はないのだ。 手に入れたアイテムの内の一つ、メンバーカードを眺める。 セッツァー持っているシルバーカードと形は同じで、使われている材質が違うだけだ。 シルバーカードはその名の通り銀だが、金色に光っているからにはこちらは金か。 見た目が気に入ったので、セッツァーはそれを懐に忍ばせておく。 最後にもう一度サイコロを振った。 出た目は一が三つのピンゾロ。最高の目だ。 それはピサロの運勢を示したものなのか、セッツァーの運勢を示したものなのか、それはセッツァー本人のみが知る。 【C-6 森林 一日目 日中】 【ピサロ@ドラゴンクエストIV 】 [状態]:全身に打傷。鳩尾に重いダメージ。激怒 疲労(大)人間に対する憎悪、自身に対する苛立ち [装備]:ヨシユキ@LIVE A LIVE、ヴァイオレイター@WILD ARMS 2nd IGNITION [道具]:基本支給品一式、データタブレット@WILD ARMS 2nd IGNITION [思考] 基本:優勝し、魔王オディオと接触する。 1:ロザリーの捜索。(すべてにおいて優先) 2:皆殺し(特に人間を優先的に) [備考]: ※名簿を確認しました。ロザリーが生きていると知りました。 ※参戦時期は5章最終決戦直後 ※休憩も取らずひたすらロザリーを探しているため、このままでは近いうちにダウンします。 【セッツァー=ギャッビアーニ@ファイナルファンタジー6】 [状態]:健康(酔いは覚めました) [装備]:つらぬきのやり@FE 烈火の剣、シルバーカード@FE 烈火の剣、メンバーカード@FE 烈火の剣 シロウのチンチロリンセット@幻想水滸伝2 [道具]:基本支給品一式×2(セッツァー、トルネコ)、オディ・オブライトの不明支給品1個(確認済。ピサロには必要なかったもの) [思考] 基本:夢を取り戻す為にゲームに乗る 1:扱いなれたナイフ類やカードが出来れば欲しい 2:手段を問わず、参加者を減らしたい ※参戦時期は魔大陸崩壊後~セリス達と合流する前です ※ヘクトル、トッシュ、アシュレーと情報交換をしました。 時系列順で読む BACK△093 悪魔みたいに、アイツは立ってた。Next▼096 僕は泣く 投下順で読む BACK△093 悪魔みたいに、アイツは立ってた。Next▼095-1 ですろり~イノチ~(前編) 081 奔る紫電の行方、燃える炎の宿命(さだめ) ピサロ 098-1 Fate or Destiny or Fortune? 083 どこを向いても奴がいる セッツァー 103 飛行夢 ▲
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銀のタロット No 名前 対象 S-009Ⅱ 銀のタロット 敵全体 補足 以下の効果がランダムで発動。 タロットカードの番号 タイトル 効果 0 愚者(The Fool) 何も起こらない 4 皇帝(The Emperor) すべての攻撃をガード 6 恋人達(The Lovers) 麻痺 8 力(Strength) 防御無視無属性大ダメージ(計約800) 13 死神(Death) 全員の動きが1ターン止まる 15 悪魔(The Devil) 暗黒属性ダメージ 16 塔(The Tower) 自らのチームにダメージ(計約300) 19 太陽(The Sun) SPカードスーパーハイテンションの効果 20 審判(Judgement) HP回復(計約600) 「力(Strength)」はせいどうのたて、 「悪魔(The Devil)」は聖女のたてでガードできる。 運が良ければ攻撃系SPや防御系SP賢者の石の効果よりもいい効果が出る -- メタル (2010-02-14 18 00 38) The Loversの属性はぱふぱふとゆうわくの踊りどっちなの? -- 名無しさん (2010-03-24 23 10 46) どちらでもない -- コバケン (2010-04-04 13 15 59) 複数ランダムほど使いにくいものはない。 -- 名無しさん (2010-04-04 15 33 55) ランダム要素があるけどこれがないとレジェンド4のEXは無理 -- 勇者しゃま (2010-04-09 23 00 20) キングレオ戦でこれ使ったら(1ターン目)いきなり「審判」が出て意味なかった -- 名無しさん (2010-04-15 19 24 49) 1ターン目に使わないほうがいい -- くさってない死体 (2010-04-16 20 11 58) ↑ -- 名無しさん (2010-04-16 21 20 22) 同感 -- 名無しさん (2010-04-16 21 20 29) だけど、最後に16でたらどーするのさ。 -- 名無しさん (2010-04-26 17 01 25) 大会でよく見るカード -- 名無しさん (2010-05-03 20 29 36) 何で -- 名無しさん (2010-05-03 20 43 06) 力がでて1ターンでたおしたとどめ無しで -- 貴様 (2010-05-04 13 14 34) 何をたおしたんですか~? -- 名無しさん (2010-05-04 15 26 55) ↑おそらく決勝のメタルチーム。 -- レクサール (2010-05-04 17 44 07) ある意味ギャンブルカード。確実に勝ちたい時は控えた方がいい。 -- なっとう賢者 (2010-05-05 10 10 44) メタルチームではない一回戦のキラーマシンチームでてブオーンのプラズマで1ターンキル -- 名無しさん (2010-05-05 11 15 47) 上のコメント貴様は貴様です名前書くの忘れた -- 名無しさん (2010-05-05 11 17 29) 勝利に余裕がある時、要するに「お遊び」程度にもってこいwそれで負けても責任は負いかねない -- 名有りさん (2010-06-12 21 45 06) ランダムだけど、有効な効果が結構あるから、どうしても負けそうな時に使ってみるのもいいかも。 -- 無名の勇者 (2010-06-12 22 04 31) メタル系に運まかせで力出すよりはギガソード使った方が早い気が。ギガソード使って決勝のメタルチーム1ターンで倒しました -- 苺パフェ (2010-07-04 18 15 11) ↑メタル系にギガソード使うよりはギガデイン使った方がもっと早い気が。ギガデイン使って決勝のメタルチーム1ターンで倒しました -- 苺カフェ (2010-07-06 21 56 57) ピンチのときに使うと結構いい効果。 -- さすらいの人 (2010-08-22 18 10 53) エンペラーの効果って魔王の凍てつく波動防ぐの?全て防げると書いてあったけど。 -- 名無しさん (2010-08-22 21 19 16) 2PでHPが900程度しかなく、とどめまで逃げれば勝てるが技がバラバラで防御が無理そうだから使ったら運よく皇帝……絶望的になったらどうぞ。 -- 名無しさん (2010-08-22 22 48 47) 名前 コメント
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銀の星団(ぎんのほしだん)またはA∴A∴(ラテン語 Argenteum Astrum、ギリシア語 Άστρον Αργόν〔Astron Argon〕、いずれも文字通りの意味は「銀の星」、または ラテン語 Arcanum Arcanorum すなわち「秘中の秘」、または ヘブライ語 Arikh Anpinすなわち「巨大な顔」、英語 Angel and Abyss すなわち「天使と深淵」、あるいはケテル)は、アレイスター・クロウリーが黄金の夜明け団離脱後の1907年に創設した魔術結社(修道団)である。A∴A∴はセレマ的魔術団体であり、その目的は光と知識の探究である。クロウリーの強い影響下にあって団の聖典は『法の書』となっている。A∴A∴のモットーは「科学の方法、宗教の目的」である。A∴A∴は東方聖堂騎士団(OTO)の一部ではないが、OTOはA∴A∴を親密な盟友と見なしていた。 21世紀の今日においてもA∴A∴の霊統はいくつかの系統に分かれて存続しており、それらは創設者であるクロウリーとジョージ・セシル・ジョーンズに起源を求めることができる。その系統のひとつは、クロウリーのA∴A∴のイニシエートであったソロール・エスタイこと、アメリカの映画女優ジェーン・ウルフが礎となっている。クロウリーの弟子カール・ゲルマーのA∴A∴のイニシエートであったブラジル人マルセロ・ラモス・モッタの教え子たちから派生した系統もある。しかし、秘密のヴェールに包まれているために、いずれの系統についても元の結社の真の後裔であると断定するのは困難である。 会員制度 基本的には、A∴A∴はひとつ上の位階の先輩がひとつ下の後輩の指導を受け持つという連鎖的な教育体制を取っており、会員は自分の直接の指導者と自分が直接指導する相手しか知らないという点でユニークである。定期的な集団儀式はなく(めったに行われないテンプルでの参入儀式においては、司官の身元を隠すための措置が講じられる)、会員は必要に応じて団の上位階者の助言を求めることができるが、独力で研鑽を積むことが期待される。このようにしてこの体制の創設者は、先行団体である黄金の夜明け団の崩壊をもたらしたとされる多くの政治的問題を回避しようとした。A∴A∴は個の啓発(霊的照明)に焦点を絞った霊的団体であり、師から弟子への秘儀伝授の連環を保持し、自身が達成した成果のすべてを後続の弟子たちに注ぎ込むことに重きをおいている。 A∴A∴の全会員が果たさなければならない務めには以下のものがある。 自らの真の意志を発見し、実現すること。 『法の書』を人生の唯一の指針として受け入れること。 「法の言葉はθελημαなり」と「愛は法なり、意志の下の愛こそが」を承認すること。 獣666と緋色の女の役職の権威を承認すること。 ラー・ホール・クイトをアイオーンの主として承認すること、ならびに地上における彼の統治を確立する仕事。 「聖守護天使の知識と会話」と呼びならわされている神秘的境地の達成。 深淵の体験。 位階構造 A∴A∴は11位階からなり、一つの予備段階と三つの「団」に分かれており、うち二つは黄金の夜明け団に由来している。ただし黄金の夜明け団のそれにわずかの変更が加えられている。結果としてA∴A∴という名称は第三団に特定した呼称として使われることもある。理論上、第三団の団員は自身の理解を反映した第一団と第二団の教義の自分独自のバリエーションを作成することができる。 団に属さない位階 学徒(Student) 「学徒」の課題は、指定された複数の書物を読破し、そこに表現されているあらゆる学識体系について一般的な知的理解を得ることである。一定期間経過後、「学徒」はテキスト持ち込み可の試験を受け、その後、歴史講義文書(『61の書』、G∴D∴の崩壊とA∴A∴の発足の経緯を記した書)の読書に伴う小儀式を修了し、「仮入会者」の位階に進む。 仮入会者(Probationer、プロベイショナー) (0°=0□):この位階は第一に志願者が自分に大いなる業を遂行する能力があることを示し、A∴A∴に本参入する準備のために存在する。「仮入会者」の基本的な課題は、自分が選んだ訓練を開始し、詳細な魔法日記を一年間継続して書き記すことである。ここにおいて「仮入会者」は「自己存在の本性(生来もっているもの)と能力についての科学的知識」を得るという課題を科せられる。クロウリーは別の箇所で、「仮入会者」は(『Oの書』と『Eの書』に説明されているように)団の核心的実践についてある程度の習熟度を示さなければならないと述べている。これは主として、「仮入会者」が昇進して新たな「新参者」となり、自分の弟子となる「仮入会者」の学習を指導する段になった時に必要となる経験を確実なものとするためである。次の位階である「新参者」への参入は、少なくとも一年経過後にLiber Throaと題された未公開の儀式を通じて授けられる。 G∴D∴(黄金の夜明け)団 新参者(Neophyte、ニーオファイト) (1°=10□):この位階の名称はギリシャ語のneophytos(「新たに企てられた」という意味)に由来する。「新参者」位階は真の秘儀参入が行われる最初の位階であり、志願者は成長の場である肥沃な霊的土壌に身を置く。「新参者」は「自己存在の本性と能力の制御」を達成するという課題を科せられる。これは「界層の上昇」技法の習得と活用、換言すれば星幽界の完全な制御を獲得することによって遂行される。「熱心者」の位階への参入は最短で8ヶ月後に受けられ、The Passing through the Tuatという儀式を通じて行われる。この位階は生命の樹のマルクトに対応する。 熱心者(Zelator、ジーレイター) (2°=9□):「熱心者」の主な作業はアーサナ(座法)とプラーナーヤーマ(調息)の完全な成功をおさめることである。彼はまた、薔薇十字の術式の学習を開始する。"Zelator" という言葉はおそらくギリシャ語のzealos(熱意)から派生している。これは、この位階の主要訓練を特徴づけている、エネルギー形成的技法であるアーサナとプラーナーヤーマに関連している。この位階の誓約書では、「熱心者」は「自己存在の基礎を制御することを達成すること」となっている。それはこの位階がイェソドのセフィラに関連づけられているからである。「実践者」への昇進は書類上のみで参入儀式は要求されず、与えられる時期の制約はない。この位階は生命の樹のイェソドに対応する。 実践者Practicus、プラクティカス) (3°=8□):「実践者」は知的訓練を完了すること、特にカバラを学習することが期待される。この位階の名称は、それ以前の位階で獲得した技能を「実際に」活用するということを示唆している。「実践者」は「自己存在の制御を達成すること」が要求される。それは自身の思考を制御することを会得するということであり、思考・言葉・行為を一点に集中させることができるようになるということである。「哲学者」への昇進は「実践者」への昇進同様、書類上のみで時期の制約なく与えられる。この位階は生命の樹のホドに対応する。 哲学者(Philosophus、フィロソファス) (4°=7□):「哲学者」は道徳的訓練を完了することを期待される。「哲学者」は団に対する忠誠が試される。特にこの位階は、『アスタルテの書』で概説されているような様々な神格への崇拝に専心することを重視している。この位階の誓約は次のように特徴づけられる。「哲学者」は「自己存在の誘引と反発の制御を達成」しようと決意する。この努力はまず第一に、自身の好きなものと嫌いなものを超越すること、意図的に道徳を無視すること、といったようなことに向けられる。この目的は、自己に組み込まれた固定観念を脱却し、完全に平静を保った観点に達することである。この過程の完成をもって「境界の主」への昇進となる。昇進の時期の指定も所定の儀式もない。この位階は生命の樹のネツァクに対応する。 境界の主(Dominus Liminis、ドミナス・リミニス) (中継位階):「境界の主」位階は、イェソドを中心とする外陣であるG∴D∴団と、ティファレトを中心とするR∴C∴団をつなぐ「橋」である。「境界の主」の作業は、それ以前の位階の作業を拡張し精錬させ、これを整合性の取れた統一体へと統合することである。「新参者」の自己統制、「熱心者」のエネルギー、「実践者」の一点集中、「哲学者」の中立性は融合して、熱望の力を強化し精錬させる作業へと転ずる。実際、この位階の誓約はまさにそれで、「自己存在の熱望の制御を達成すること」となっている。Dominus Liminis という名称は「境界の主」(Dominus:ラテン語の主格「主」、Liminis:ラテン語の所有格「境界の」)を意味し、マグレガー・マサースの旧・黄金の夜明け団の「門の主」(Lord of the Portal、予備門の小径の主)を置き換えたものである。ここで言う「門」(入り口)ないし「境界」(敷居)とは、秘儀参入者がまさに外陣であるGDの小密儀から内陣であるRR AC(紅薔薇=黄金十字)の大密儀へと通過しようとしているという事実を指し示すものである。 R∴C∴(薔薇十字)団 小達人(Adeptus Minor、アデプタス・マイナー) (5°=6□):「小達人」の位階はA∴A∴の教育の主要テーマとなっている。これは「聖守護天使の知識と会話の達成」に特徴づけられる。「小達人」の仕事は、自分の上位階者たちの命じるやり方と自分の「天性」の命じるやり方で、世界に団の「美」を顕現させることである。この位階は生命の樹のティファレトに対応する。 大達人(Adeptus Major、アデプタス・メイジャー) (6°=5□):「大達人」の仕事は魔術の力を用いて自分の上位階者である「被免達人」の権威を支えることである。「大達人」は自力本願、「力」(Force)の適切な使用、下位の位階を統べる権限を獲得する。この位階は生命の樹のゲブラーに対応する。 被免達人(Adeptus Exemptus、アデプタス・イグゼンプタス) (7°=4□):「被免達人」は宇宙についての自分の知識を開陳する論文と、宇宙の繁栄と発展のための提案書とを準備し出版しなければならない。かくして彼は思想の一学派のリーダーとして知られることになるであろう。彼は瞑想の最高峰の境地の寸前にまで達するであろう。そしてそこまで来れば、彼の取りうべき唯一の道は仲間の生き物たちを援けることに完全に身を捧げることだ、という認識に到達するだけの準備が既にできているはずである。この位階は生命の樹のケセドに対応する。 深淵の嬰児(Babe of the Abyss) (中継位階):「深淵の嬰児」は二つの団の間の通過段階であり、正確には位階ではない。これは自己を構成したり宇宙を成り立たせているあらゆる結びつきの無化であり、あらゆる複雑なものがその構成要素へと分解することである。そしてその結果、事物は他の事物との関係性や反応についてのみ知り得るようになるため、これらの構成要素は顕現することを止める。 S. S.(銀の星)団 神殿の首領(Magister Templi、マジスター・テンプリ) (8°=3□):この位階の主な仕事は宇宙の完全な理解を得ることである。この達成の要点は、自らの真の自己を制限したり妨害する人格の完全な滅却である。「神殿の首領」は神秘主義の卓越した達人であり、すなわち彼の悟性は内なる矛盾からも外なる蒙昧からも完全に解放される。彼の「ことば」は彼自身の精神に従って、存在する宇宙を理解せんとする。この位階は生命の樹のビナーに対応する。 魔術師(Magus、メイガス) (9°=2□):「メイガス」は叡智の達成を目指し、自らの法を宣言し、その最大にして最高の意味において、あらゆる魔術の達人である。彼の意志は内なる放漫からも外なる対立からも完全に解放される。彼の仕事は自らの意志に合致した新しい世界を創造することである。この位階は生命の樹のコクマーに対応する。 自己自身者(Ipsissimus、イプシシマス) (10°=1□):下位の諸位階の理解を超えている。「イプシシマス」は制限や必要性から解放され、顕現宇宙との完全なる調和のうちに生きる。本質的に言って最高度の達成である。この位階は生命の樹のケテルに対応する。